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2026/08/14 20:36

こんにちは。Homareです。


このブランドとは個人的に長らくの付き合いになるけれど、取り扱うのは約10年ぶり。


前々職(上京したて)の頃に出会ったこのブランドは、オーセンティックなものもあれば、身体を覆い隠すようなアップスケールなシルエットのもの、独特のテクスチャを感じさせる洋服など、彼らが得意とする"テーラリング"という限られた"規律"が存在する洋服作りの中で、オーバーサイズ、再構築で違和感を生み出す。一目で引き込まれてしまったことを覚えています。でもその頃の僕にはなんとなくまだ早く感じ、全然手を出していませんでしたが、数年後バイヤーデビューを果たし、フルラインナップをみた時にはさらに引き込まれていました。デザイナーの出身地でもある中東、イスラエルの母国文化、ユダヤの伝統的なカルチャー、単なるオーバーサイズにとどまらず、素材やサイズバランスが洗練されているブランド。


普通じゃないをテーマとするMURPHHにとっては少し派手な面構えかもしれません。ただ、その中にあるオーセンティックな洋服に隠れた"歪み"は、大きいというほどの主張ではなく、難なく日常に溶け込む。


長らく個人的に購入しては着てきました。インポートで、なおかつサイズバランスも難しいとあって数年離れていましたが、MURPHHには必要不可欠な存在だと思い、取り扱いをスタートします。もちろん自分で着たいからというのも理由ですけどね...


"HED MAYNER"

クラシカルなテーラリングを基盤にしながら、体と距離感で独自の美学を表現するブランド。イスラエル北部の静かな村で生まれたデザイナー: ヘドメイナー。幼少期からパターンメーキングや衣類の仕立てに興味を持ち、2015年にフランスにてブランドを設立。ブランドのデザインは、スピリチュアルや伝統、繊細、パワー、崇高などからインスピレーションを得て、母国の文化や技術、ユダヤの伝統的なカルチャーと現代のデザイン感覚が融合された独自のスタイルを生み出しています。


イスラエルは、ユダヤ、キリスト、イスラムといった宗教が混在する地域であり、多様性は計り知れない。しかしその文化を尊重しつつ、現代的なファッションへと昇華させる。それがHED MAYNERの強みです。特にユダヤの伝統的なテーラリングの影響は大きく、服装のルールや価値観を感じさせます。


皆さんもみたことあるかと思いますが、ユダヤの衣装は全身黒で包むものが多く、肌の露出を避ける。日常の過ごしやすさを第一に、身体を覆うようなサイズ感が特徴的です。一辺倒にオーバーサイズと表現するのも烏滸がましいような、文化的背景が大きく反映され、動きの強い生地、顔を覆うようなルックや、中東の生活スタイルに根付いている天然繊維を使ったこだわりのある素材選び。ルックの存在感や1着のインパクトが大きいだけに、背景まで着目することなく魅力を感じられるのも強みですが、こうして改めて洋服を見ると、他にはない様々な要素を取り込んだスタイルに魅了されるはず。


HED MAYNER

"BLOUSON 〔KHAKI〕" ¥308,000-


ヴィスコース混のポリアミド(ほとんどナイロン)ツイルを使用したジップブルゾン。ハリと光沢があり、厚手。ハリントンジャケットやボンバージャケットのようなクラシカルな面構えでありながら、フロントジップのデザインやポケット、ベルトのデザインを入れることで既視感のないブルゾンに再構築した一着。


展示会ではまず目に入って試着しましたが、ちょうどいま僕が求めていたアウターの要素を全て持っていたこともあり即決でした。僕もこの冬用のアウターとして、他を諦めて全ツッパ予定。


第一印象にもあるように、"意外に普通"なんです。ただその普通の中にはちょっとした歪みが散りばめられている。フロントどうなってるの、裏地どうなってるの、みたいなわかりやすいディテールから、セットインスリーブの上に載せるように配置されたヨーク。四方から見て格好がいい、パーフェクトアウター。


HED MAYNER

"OVERSIZED LS SHIRT 〔CHECK〕" ¥99,000-


シャツは定番で、個人的にも何度も購入してきたアイテム。まずオーバーサイズという印象が大きいかと思いますが、作りはドレスシャツ。今回用いているワイドウインドウペン生地も、高密度に織り上げられたハリのある上質なコットンを採用するなど、オーバーサイズという、ドレスの規律から外れた要素に対して、綺麗でとにかく仕立てのいいシャツという要素を混ぜることで、だらしなさは全くありません。いいシャツを着崩したい方に。HED MAYNERにしか出せない雰囲気があります。


今更原産国がどうとか興味ないとは言っていますが、なんだかんだイタリア製ってめちゃくちゃいい響きです。



HED MAYNER

"COLLARLESS JACKET 〔NAVY〕" ¥143,000-


ジャージーのような伸縮性のあるポリエステルを使用したカラーレスジャケット。このジャケットに関しては思ったよりオーバーサイズではなく、比較的収まりのいい控えめオーバーサイズ。肩は落としすぎず、比例して身幅も広すぎないようにキープ。HED MAYNERらしい馬鹿でかいジャケット、というよりは、カラーレスでカジュアルダウンした綺麗なジャケットを、ジャージー素材でさらにカジュアル使いしやすいようにしているという印象。


シャツなのかセーターなのか、秋口にはカットソーなのか、インナーで大きく印象を変える一着。Vゾーンも狭いので、シャツを着ると襟を出したくなるのも特徴。イタリア街を彷彿とさせるラフなセットアップを、パンツと共に。


HED MAYNER

"ELASTIC PANTS 〔NAVY〕" ¥81,400-


組下となるワイドイージーパンツ。ウエストは100cm以上とり、ギュッと絞ってご着用いただく一本。広く撮られたワタリ幅や股上とジャージー素材の相性がとても良く、動くたび美しいドレープが生まれます。ラフなパンツながらレザーパーツをつけるなど、極力無駄を省きつつ、ウエストのギャザーや素材感を全面的に押し出しています。いや、本当に何にでも合いそう。


イージーパンツの中でも、バギーシルエットのイージーパンツは何本あってもいい。今時期にシャツで合わせたらそればかりになりそうな一本です。


HED MAYNER

"2TUCK TROUSERS 〔GREY PAINT STRIPE〕" ¥104,500-


伸縮性のあるヴィスコース混ヘリンボーンツイルを使用した2タックのトラウザーズ。深くとったタックが特徴的で、一般的な2タックといえど、さらにゆとりがある仕上がりで、自然な丸みのあるシルエット。また、裾にかけて緩やかにテーパードをかけているので、ワンクッションも美しい。こういうたっぷりとしたパンツが本当に得意なブランドなので、このバランスが好きな方はぜひお試しを。


HED MAYNER

"VERY LONG BELT 〔CAMEL BROWN〕" ¥48,400-


最後にご紹介するのは、名前そのままな超長いベルトです。m's braqueのBohoシリーズよりも随分長く、写真のように二重に巻いていただいたり、ジャケットのウエストマークとしてお使いいただくのに最適。カラーはブラウンのみで、このパンツに合わせていただきたくてオーダーしました。このキャメルブラウン、好きなんですよね。


ブラックの引き締まりすぎてしまう点を、ブラウンで柔らかく馴染ませてお使い下さい。経年変化も楽しみ。



"フィレンツェのような歴史のある都市では、『見て、触れないで』という美術館のような感覚に陥ることがある。しかし私は、駅という場所で、日常の環境や空間のテクスチャーとつながりたかった。"とショーの前に語ったヘド・メイナー。歴史の美しさが支配する街、フィレンツェの象徴でもある美術館のような静止した空間ではなく、人々の日常が交錯する"駅"の喧騒こそが、今回のインスピレーションだったという。


クラシカルなテーラリングを基盤にしながら、身体と距離感で独自の美学を表現するブランドとも言われるように、今回のコレクションは、芸術作品のように日常から遠ざけられた洋服ではなく、着用者の身体・日常と密接に関わり、動作を誘発する洋服。


オーセンティックであってそうではない、散りばめられた違和感(間違い)の数々。しかしこの間違いこそが意図的であり、クラシカルなテーラリングの規律から逸れた、HED MAYNERの正解というアプローチ。


うまいなあ。シンプルの中に潜む間違いという名の正解。普通でいて普通ではない、MURPHHらしいラインナップが揃ったと思います。


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